MOAの創始者・岡田茂吉(1882〜1955)は、、明治15年、東京浅草に生まれ、実業家として成功をおさめるが、事業の倒産、妻子との死別という深い悲しみを経験し、不幸の原因を探求する中、人間と人間を取り巻く世界の成り立ちに大きな関心を寄せていきます。
十数年にわたる研究と実践を通して、この世界この宇宙には人間の目には見えない「曇りのない純粋な自然力(霊)」が編満しており、人間も宇宙ももとは「浄」なるものであると理解するにいたりました。
そして、不幸は、人間自身のさまざまな行為により、清浄であるはずの世界に「くもり」が生じ、それが心と肉体を蝕み、心身の健康を喪失させることによってもたらされると確信します。
岡田茂吉は、人間や世界が持つ「くもり」をいかに「浄化」すべきか、いかにして宇宙に遍満する清浄な「自然力」を活用・発揮させ、心身の健康を獲得すべきか、その手段を創生することに没頭していきます。その結果、浄化療法をはじめ、自然農法・自然食活動、美術文化活動等が具体的な方法として確立されていきました。
そして重要なことは、岡田茂吉は、心身の健康が達成されれば、それはほかならぬ人類が望み続けた新しい真の文明の創出そのものなのだと確信していたことです。新しい文明の建設は、なによりもまず、文明社会を構成する一人ひとりの幸福、すなわち「心身の健康」が実現することによって成し遂げられると考えていました。
一人ひとりの心身の健康はすなわち家庭の健康であり、家庭の健康は社会の健康に繋がり、そして社会の健康は人間世界すべての健康を創り出すと考えたのです。
岡田茂吉は、このような活動を強力にかつ大規模に展開するためには相応の機関を編成することの必要を痛感し、より広く、誰もがその活動に参画できる組織でなければならないという強い信念に立ち、昭和11年「大日本健康協会」を創立し、それが今日のMOAとなりました。
こうしてその生涯を人間一人一人のみならず世界の平和と幸福の実現に捧げた岡田茂吉は、昭和30年、72歳で生涯を終えました。しかしその思想と実践は、現在も力強くMOAに引き継がれています。